
Topic秋の冷えと産後の体調管理
出産後の女性の体は、ホルモン変化や育児による生活リズムの乱れから、とても冷えやすい状態にあります。
産後すぐのママはもちろん、授乳や抱っこ、育児に追われる3歳頃までのお母さんも、秋から冬にかけて体調を崩しやすく注意が必要です。冷えは血流の低下だけでなく、腰痛や骨盤底筋の働きに影響し、尿もれや疲労感の原因にもなります。
この時期を元気に乗り切るためには、「冷え対策=体調管理」と考え、日常の中で無理なく実践できる工夫が大切です。

■ 冷えが体に与える影響
冷えは単なる不快感にとどまらず、血流や筋肉の働きを低下させます。産後は基礎代謝が下がりやすく、加えて授乳や夜間の育児で睡眠不足が続くと、体温調整の働きも不安定になります。その結果、腰痛や肩こり、骨盤底筋の働きの低下による尿もれ、下腹部の重さなどの不調が出やすくなります。また、冷えは消化や免疫機能にも影響し、便秘や疲れやすさを引き起こすこともあります。特に、産後間もないママだけでなく、育児が続く数年間も同じように体調管理が必要です。冷えを軽視せず、体全体の回復や育児を支える力につながる大切なテーマとして意識することが大切です。

■ 日常生活でできる冷え対策
冷えの予防には、生活習慣の工夫が有効です。衣類では足首や腰まわりを冷やさないよう腹巻や靴下を活用し、特に夜間授乳時には下半身の保温を意識しましょう。入浴もおすすめで、ぬるめのお湯に短時間つかるだけでも血流改善につながります。食事では、たんぱく質や鉄分を含む食品をしっかりとり、常温や温かい飲み物を選ぶことが大切です。また、体を動かすことも血流改善に効果的です。赤ちゃんと一緒の散歩や、合間にできる軽いストレッチ、骨盤底筋トレーニングなどを取り入れると、冷えの改善だけでなく腰痛や疲労の予防にも役立ちます。
■ 心とからだを整えるリラックス策
冷え対策は体を温めるだけではなく、心のケアも大切です。ストレスや緊張が続くと自律神経が乱れ、血流が悪くなり冷えや不調が強まります。深呼吸や軽いストレッチ、温かい飲み物で一息つくなど、気持ちを落ち着ける時間を意識しましょう。家族や周囲にサポートをお願いしながら「休むこと」も冷え予防の一つです。
秋の冷えは、ママさんの体調に影響します。 「温める・食べる・動かす」 を意識して、日常に小さな習慣を取り入れることが元気に育児を続ける秘訣です。
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〜けんさんから一言〜
「冷え」は通年の対策が必要かもしれませんが、特に夏の暑い時期からの季節の変わり目は注意が必要です。今年は特に暑い日が続き、さらに朝昼晩の気温差もあり、心身ともに疲労が蓄積されています。お子さんファーストが強いママさんだからこそ、自分のことを後回しにしてしまいがちですが、ママさんが元気でいることはお子さんが望んでいることだと思います。
産後だから特別というわけではありませんが、からだの変化や環境の変化が重なり体調は崩れやすい時期です。ご家族にも協力してもらいながら、自分時間をもち、リラックスするひと時をつくってみてください。
★この記事を書いた人★
国保依田窪病院 理学療法士 山﨑 健一(けんさん)
ウィメンズヘルス・メンズヘルスの専門分野を学んでいます
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