Topic“ママの肩こり”は特別な肩こり
出産から数か月、数年一一ママのからだは、育児の中で少しずつ変化しています。「肩がこる」「背中が重い」と感じる方は少なくありません。授乳や抱っこ、抱っこ紐での移動、家事、デスクワークやスマホ操作・・・・・・。赤ちゃんや子どものお世話だけでなく、日常の姿勢や動作が積み重なり、肩や首まわりに慢性的な疲労をもたらします。実は、この肩こりは単なる筋肉疲労だけでなく、ホルモンや自律神経の影響、体の深い部分の使い方とも関わっているのです。今回は、育児期ママに多い肩こりの特徴と、日常でできる工夫について見ていきましょう。

■ 日常動作が肩こりをつくる
抱っこや授乳、抱っこ紐での移動など、育児では前かがみや片側に体重をかける姿勢が日常的に繰り返されます。また、料理や掃除、スマホ操作なども首や肩を前に突き出す姿勢を長時間続けがちです。このような姿勢では、肩や首まわりの筋肉が常に緊張状態になり、血流が滞りやすくなります。その結果、疲れが抜けにくく、肩こりや背中の重だるさとして現れます。日常動作の中で「抱っこ紐をしっかり装着する」「左右交互に抱っこする」など小さな工夫を取り入れるだけでも、肩周りの負担を軽減することができます。

■ からだの内側の影響と慢性的な肩こり
産後の肩こりは、表面的な筋肉疲労だけではありません。出産後はホルモンバランスが変化し、関節や靭帯が緩みやすくなるため、肩や背中を支える筋肉に余計な負担がかかります。さらに、育児による睡眠不足や緊張状態が続くと、自律神経が乱れ、血流が滞りやすくなります。骨盤底筋や体幹の深い筋肉の働きが弱いと、上半身でバランスを取ろうと肩まわりの筋肉が余計に働くため、肩こりが慢性化しやすくなるのです。このように、ママの肩こりは全身の状態と密接に関わっていることを知っておくと、対策の幅も広がります。
■ 日常でできる簡単ケア
肩こり解消のために特別なトレーニングは必要ありません。まずは日常の中で小さな工夫を取り入れることが大切です。例えば、抱っこの合間に肩や肩甲骨をゆっくり回す、胸を開く深呼吸を数回行う、湯船で肩まで温まるなどの習慣は血流を改善し、筋肉の緊張をほぐす助けになります。「ちょっとした意識と動きの工夫」が、長期的に肩こりを軽減し、育児生活を少しラクにしてくれます。
特別な肩こりと表現しましたが、産後の女性におこる特有のからだの変化があります。その中で、少しでも体調を整えた毎日を過ごせるかはとっても重要です。
※最後までお読みいただきありがとうございます。内容については、誤解が生じないよう学術的背景等をもとに細心の注意を払っていますが、すべての方に対して、情報の正確性、完全性、有用性について保証するものではありません。可能な限り有益な情報を配信できるよう努めておりますこと、ご理解くださいますようお願いいたします。
〜けんさんから一言〜
私ごとですが、先日は産前産後に関わる職種の方々が集まる研修に参加してきました。医師、助産師、保健師、看護師、リハビリ専門職など、多くの方と交流を深めてきました。グループワークでは助産師さんには抱っこの方法や抱きかかえ方など教えていただいてきました。日頃の疑問にも丁寧に教えていただき大変充実した学びの時間でした。
日頃のママさんの姿勢は、一言添えたいなぁと思う姿勢が多くあります。また抱っこ紐のつけ方は、ママさんにもお子さまにも負担がかかってしまっている姿も見受けます。子育て支援センターでは、このような点についてもアドバイスできますので、是非お声がけくださいね。
★この記事を書いた人★
国保依田窪病院 理学療法士 山﨑 健一(けんさん)
ウィメンズヘルス・メンズヘルスの専門分野を学んでいます

PDF版のダウンロードはこちらから