Amulette_Vol4

Topic産後のロコモ

「ロコモティブシンドローム(ロコモ):運動器不安定症」という言葉をご存じですか?
加齢などに伴い、関節疾患や筋力低下が現れ始めます。「関節疾患」「転倒・骨折」は、介護が必要となる原因疾患の全体の2割を占めると言われています。
簡単に言えば、運動器症状が増悪することで日常生活を脅かし、介助を必要とする状態に陥りやすいということになります。
これって高齢者の問題でしょ?と思われる方もいると思いますが、「産後女性の10人に8人が体力低下の傾向」(さんごのからだプロジェクト調べ)と言われています。

妊娠・出産に伴うからだの変化として、姿勢の変化、お腹まわりの筋力の弱さなどが挙げられます。
若い年代では、もともと有している筋力や体力により一時的なものと考えがちかも知れませんが、多くの産後女性の方は体力の低下を感じており、また体力をつけることの必要性を感じているようです。
産後女性に対してのロコモ度テストでは、ロコモ予備軍が85%という結果(さんごのからだプロジェクト調べ)となり、多くの産後女性が骨・関節・筋力など運動器症状を来しやすい状態になっているということがわかりました。

■ ロコモの簡単チェック「ロコチェック」
(以下7項目のうち1つでも該当すればロコモの心配と判断)

①片脚立ちで靴下がはけない

②家の中でつまずいたり滑ったりする

③階段を上がるのに手すりが必要である

④家のやや重い仕事が困難である

⑤2kg程度の買い物をして持ち帰ることが困難である

⑥15分くらい続けて歩くことができない

⑦横断歩道を青信号で渡りきれない

他に、「ロコモ度テスト」として、
3種類のテストからロコモ度判定をします

①立ち上がりテスト
(脚力の評価)

②2ステップテスト
(歩行能力を総合的医評価)

③ロコモ25
(運動機能や日常生活動作の困難さを評価)

「体力の低下を感じる」「筋力が落ちた」という自覚的な症状をお持ちの方は、ロコモに陥っている可能性がありますので、体力テストをして確認してみることをお勧めします。
「ロコモ」は運動機能の低下ですので運動により解決することができるものです。産後の生活の中で、徐々に体力が戻ることで乗り越えられたと思われる方も多いと思いますが、産後数年経過した方も含め、備えとして体力・筋力を高めておく必要があります。
産後の身体変化に応じた運動を行い、将来のからだのトラブルを防ぎましょう。

※最後までお読みいただきありがとうございます。内容については、誤解が生じないよう学術的背景等をもとに細心の注意を払っていますが、すべての方に対して、情報の正確性、完全性、有用性について保証するものではありません。可能な限り有益な情報を配信できるよう努めておりますこと、ご理解くださいますようお願いいたします。

〜けんさんから一言〜

性別や世代関係なく、日常の生活動作や活動仕事に加え、運動時間を確保し継続することは大変なことだと思います。たとえ5分でもご自身のための「自分時間」をつくることができるかということが重要になると思います。
体力や筋力に心配を感じる方は、是非「理学療法士の日」にご相談ください。握力測定や簡易的な筋力チェック、そして、からだの使い方などお伝えします。
次号も楽しみにしていてくださいね。


★この記事を書いた人★

国保依田窪病院 理学療法士 山﨑 健一(けんさん)

ウィメンズヘルス・メンズヘルスの専門分野を学んでいます

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