Amulette_Vol17

Topic頻尿と過活動膀胱

「それって過活動膀胱?」というフレーズを耳にしたことがある方もいると思います。皆さんは、頻尿と過活動膀胱の違いについてご存じでしょうか。
排尿の回数が多いことや「トイレに行きたい!」と迫られるような状況など経験がありますか?
昼間だけでなく夜間も、また夏より冬の時期など、おしっこが近くて・・・尿もれもあるんだよねぇなんて心配はありませんか?
そこで今回は、頻尿と過活動膀胱についてお伝えします。

■ 頻尿とは?~「何度もトイレに行く」って、どういうこと?~

「トイレが近い」という状態、つまり“頻尿”は、実は誰でも経験したことのある身近な症状です。
医学的には、昼間の排尿回数が8回以上あると「頻尿」とみなされることがあります。もちろん、水分を多く摂った日や、冷えた日、カフェインの多い飲み物をとった日などは、多少増えても自然なことです。しかし、それが日常的に続くようであれば要注意です。
産後のママにとっては、妊娠中からの膀胱への圧迫や、出産による骨盤底筋のゆるみ、ホルモンパランスの変化などが関与して、頻尿が起こりやすくなります。また、夜中に何度も起きてトイレに行く「夜間頻尿」があると、十分な睡眠がとれず、育児の疲れが取れない・・・という悪循環にもつながります。
頻尿は、過活動膀胱や尿路感染症の一部として現れることもあるため、他の症状(急な尿意、痛み、尿もれなど)とあわせて原因を探ることが大切です。頻尿だからといってすぐ病気とは限りませんが、「歳のせい」「産後だから仕方ない」と放置せす、気になる場合は早めに医療機関や専門家に相談してみましょう。

■ 過活動膀腕とは?~「急にトイレに行きたくなる」あの感じ~

過活動膀胱は、「急に強い尿意を感じ、我慢が難しくなる」状態が主な特徴です。特に「我慢できずにもれてしまう」という切迫性尿失禁を伴う場合もあります。トイレに行っても少量しか出ないのに、またすぐ行きたくなる・・という方は、もしかしたら過活動膀胱かもしれません。
この状態は、膀胱が過敏になってしまっているために起こります。原因はさまざまで、出産後の骨盤底筋の機能低下、自律神経の乱れ、加齢、冷えなどが関係していることがあります。特に産後は、ホルモンバランスの変化や骨盤の支持機能の低下により、膀胱のコントロールがうまくいかなくなることがあります。
また、夜間の頻尿やトイレの不安から外出を控えたり、生活の質が下がってしまう方も少なくありません。けれど、過活動膀胱は治療やトレーニングで改善が可能です。薬物治療のほか、骨盤底筋トレーニング(いわゆる“腟トレ”)や、生活習慣の見直しが大切になります。
「なんだか恥すかしいし、我慢すればいい」と思わずに、まずは正しい知識を持って、自分の身体と向き合ってみましょう。日常生活がもっと快適になる一歩につながるかもしれません。

※最後までお読みいただきありがとうございます。内容については、誤解が生じないよう学術的背景等をもとに細心の注意を払っていますが、すべての方に対して、情報の正確性、完全性、有用性について保証するものではありません。可能な限り有益な情報を配信できるよう努めておりますこと、ご理解くださいますようお願いいたします。

〜けんさんから一言〜

頻尿と過活動膀胱は同じように思われがちですが、頻尿は尿の回数が多いこと、過活動膀胱は切迫感があるかないかが大きなポイントになります。いすれも個人で判断せず医師に診断が必要になります。とは言え、当たり前だと思い過ごされているかたも多いのが現状です。過活動膀胱は骨盤底筋トレーニングでも症状が緩和する方も多く、生活の中でのコツもあります。一人で悩まず相談されるとよいです。毎日の出来事ですから、改善できることは改善し、からだも気持ちもリラックスした日常を送ることができると良いですね。暑い日が続きますが、脱水にならぬよう、適度に水分を補給すること、食事はしっかり召し上がること、そして十分にからだを休めてくださいね。


★この記事を書いた人★

国保依田窪病院 理学療法士 山﨑 健一(けんさん)

ウィメンズヘルス・メンズヘルスの専門分野を学んでいます

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